「飛鳥...俺んちこーへんか?」

慧ちゃんは下を向いて
いきなりそー言った

「へっ?!」

「母さんにも了承済みやから...」

「えっ慧ちゃん、ちょー待ってや」

「何?」

慧ちゃんの顔からは無邪気な笑顔が消えて
代わりに悲しそうな顔があった

「何でって...そんなん迷惑やん」

ウチは途中から慧ちゃんの顔を見られへんなった...

「そんなん...迷惑な訳無いやん!!」

慧ちゃんはウチの両頬を引っ張った

「慧ちゃん...痛いよ...ねぇ慧ちゃん...何でそんな顔するん?」

慧ちゃんの顔は、眉が下がって
目は潤んでる...泣きそうやん...

「俺は...昔っから飛鳥のこと...」

「えっ...」

慧ちゃんはウチのことを抱き寄せた
いつもとは違って、力強く、抱きしめられた

「慧ちゃ...」

「好きやねんっ...!!」

「えっ...」

慧ちゃんの顔なんてもぉ見られへん...
ウチは慧ちゃんの胸の中に顔をうずめた

「俺、飛鳥のこと、好きやねん...俺と、付き合ってくれへん?」

「ゴメン...ウチ、慧ちゃんのことは好きやけど、恋愛感惰はなぃ...それにウチ、好きな人、おんねん...それに、ウチには姉ちゃんも妹もおるから、慧ちゃん家には行けへん...」


ウチは慧ちゃんの背中に手を回して
ギューっと慧ちゃんの制服を握った

「そっか...聞いてくれてありがとな」

慧ちゃんはそう言ってウチから離れた

「次の時間テストやし、戻るか...」

慧ちゃんは屋上のドアヘと歩き始めた
その後ろ姿はやけに寂しそうに見えた

「...っ慧ちゃん!!」

「ん一?」

慧ちゃんが苦笑いしたまま振り向いた

「ウチ、慧ちゃんのこと大好きやでっ!!
向こう行っても、慧ちゃんのこと、絶対忘れんから!!ありがとぉー!!」

泣きやんだのに、また涙があふれてきた
慧ちゃんのせぃやんか...バカ...

「飛鳥...俺も忘れんから、いつでも連絡してこいよ!!」

「っうん!!」
ウチと慧ちゃんは
涙をふいて屋上出た