あの後、先生はウチを家まで送ってくれた
「じゃぁな、テスト頑張れよ!!」
「うん、ありがと!!」
そう言って先生は帰ろうとした
けど、何か思い出したよぉに
立ち止まってカバンのなかを探り始めてん
そんで、何か取り出してこっちに来た
「あったあった、ほら」
そうゆーて先生はウチの手に何か握らせた
「...シャーペン?」
ウチの手には、青色のシャーペンが握られていた
「それな、俺がテストん時とか、試験の時とかつこうてるんやけどな、それつこた時の点数メッチャえぇねん!やからそれ、飛鳥ちゃんにやるゎ!!」
「えっ、メッチャ大事なんやなぃん!?」
「えぇねん、俺からのお守りみたいなもんや!」
そぉゆーて、先生は手を振りながら帰っていった
先生が見えんなってからウチはもらったシャーペンを握りしめて家のドアを開けた
ガチャッ
「あっちゃん!?はるねぇ!!あっちゃんが帰ってきた!!」
ドアを開けた瞬間、
彩ちゃんが飛びついてきた
「あっちゃん!!何しよってん!心配したんやからぁ!」
姉貴が泣きながら出てきた
「ゴメンナ...姉貴、話しあんねん」
ウチは姉貴の目をまっすぐ見て
そう言った
「...解った、こっち来ぃ」
ウチは彩ちゃんをほかの部屋に連れて行った
「彩ちゃん、あんな、姉ちゃんら話するから、こっから出たらあかんで?」
「解った、彩ちゃんここで遊びよくから!!」
「よっしゃ、エェ子や!!」
ウチは彩ちゃんの頭を撫でて
部屋のドアを閉めた
「姉貴」
「あっちゃん...そこ座り」
ウチは姉貴と向かい合って座った
「あんな、姉貴...ウチちゃんとばあちゃん家行く」
「...」
「けどな、テスト終わるまで待って!!!」
姉貴の表情が曇った
「あっちゃん何言いよん?すぐに出なあかんに決まってるやん」
「でも、約束があんねん...大切な人との約束が...」
姉貴はちょっと困った顔をしたけど
決心した顔してウチの目を見た
「わかった、その代わりテスト結果がわかったらすぐにこの家は出る、それでえぇやろ?」
「...ありがとう、姉貴」
ウチは泣きそうになったけど
無理やり笑顔作って姉貴に笑いかけた
先生にはまだ言ってないたった一つの真実
引越し
でも、先生に言うことは無い
自分が辛くなるから
ウチは明日のテストに向けて
最後の追い込みをかけた
先生、約束は守るからな...

