あたしはそう簡単に人を信じない。



もちろん人を好きになるなんてありえない。



しかも一目惚れなんて‥



絶対ありえないんだから。






「お待たせしました。」



そう言ってドリンクとケーキを持って来たのはあの人じゃなく、小柄で優しそうなおばさん。





一瞬、残念に思っている自分がいた。



カウンターの方を見ると、あの人は他のお客さんのコーヒーを淹れているようだった。





その真剣な横顔に、


どくんっ‥


また心臓が暴れだす。





ありえないありえないありえない!!



一目惚れなんて絶対ありえない。