抱きつく私をアツはまた自分の膝の上に座らせた。



「ちげーよ。店の場所分かんなくてウロウロしてたらたまたま会ったんだよ。あーあの人会社の先輩。おかげで結婚考えてんのバレるし、さんざん冷やかされるし、何か知んねーけど店ん中まで付いてきて俺が選ぶヤツ片っ端から文句つけるし・・・お前にバレるし。・・・最悪」



バタンと後ろに倒れて頭を抱えるアツ。



そういう事だったんだ?



なにも隠さなくったっていいのに。



でもなんか、アツらしい。



アツの上に体を重ねて首に顔を埋める。



「そんな事だろうと思った」



「怒ってたくせに」



「そりゃ怒るよ」



やっぱり隠し事はダメだよ。



悲しい気持ちになっちゃう。



せっかく幸せな事なのに、つまらないケンカなんてしたくないじゃん。



「来週行くからな」



「ん?」



「お前ん家。日曜だったらお父さん家にいるんだろ?」



「うん?」



何だろ?



・・・・・・・・・・・・??



・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!



「アツそれって!?」



何だか分かんないけど、急速に体が緊張していく。





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