指でつまみ食いまでは良かったんだけど、アツってばスプーンまで持ち出して本気で食べ始めちゃった。
「ちゃんとお皿に入れるからちょっとどいて」
スプーンを取り上げてアツをフライパンから遠ざける。
少し温め直そうとカチッとコンロに火を点けたら、今度は後ろから抱きしめられた。
ドキンッ・・ドキドキドキドキ・・・
アツのこの突然のスキンシップには、未だに慣れる事はない。
アツの事が好きだと自覚した日から、もう数え切れないほどのドキドキを体験してきた。
「アツ危ないから離れて?」
な〜んて言いながら、実はちょっと憧れていたこのシチュエーション。
肩に顎が置かれて、アツの顔を見ようと首を動かすとチュッと私の頬にキスをした。
「・・・な、に?」
「ん?可愛いなぁって思って」
どうしちゃったのアツ?そんな事言っても、麻婆茄子とチンゲン菜のスープしか出て来ないよ?
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