一通りを話し終えてもアツは難しい顔をしたまま。
やっぱり大北さんと二人で話したのがまずかったのかな・・・
「あの・・・ごめんね?」
「何で謝ってんだよ?その人、分かったって言ったんだろ?」
「うん」
「だったらもう、いいんじゃね?そりゃ俺にしてみれば腹の立つ話だけどさ、お前が悪い訳じゃないし、その大北って人が悪い訳でもねーし」
そう・・・だね。
大北さんの事を思うと申し訳ない気持ちになっちゃうけど、こればっかりはいくら私が悩んだって仕方のない事。
「で〜も〜正直やっぱムカつくんですけど?メールしてたの隠していた人?はーい!会うなって言ったのに二人で会った人?はーい!」
私の手を持って、“はーい!”の時に腕を上げさせる。
せっ責められてる・・・。
「ど、どうしよっか?一発殴っとく?」
「そうだなぁ〜。一発で済むかなぁ?」
拳にハァーっと息を吐く。ちょっと古いよ?
「アツ〜まさか本気じゃないよね?」
ニヤリと笑ったアツが大きく拳を振り上げる。
「ぎゃーーっ!!」
目を瞑って、両腕で頭をガード・・・
「ばーか、するわけねぇだろ」
まぁ分かってたけど。
テンプルぐりぐりくらいはあるかなと・・・
「ねぇアツ、本当に怒ってない?私の事好き?愛してる?」
「お前どさくさ紛れに何関係ねー事聞いてんだよ?」
シュルリとネクタイを外して私の頭に乗せると、アツはそのままキッチンへ。
「おっうまそ〜!麻婆茄子じゃん!」
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