この真剣な告白を、今隣で彼氏に聞かせている自分がすごくひどい人間に思えてくる。



アツの目を見て、片手でごめんと謝ると、私はひとりでキッチンに移動した。



『ごめんな?こんな事言われても迷惑だよな。困らせたい訳じゃないんだけどさ・・・』



「いえ・・・そんな風に想ってもらえて、すごく嬉しかったです。迷惑だなんて、思ってません。ありがとうございます。・・・でも、ごめんなさい。私は、今の彼氏じゃなきゃダメなんです」



アツじゃなきゃダメなの。



1度離れ離れになって、思ったんだ。



アツがいないと、私は私でいられない。



アツ以外の人を好きになる事なんて・・・私には出来ない。



当たり前の様に隣にいられる今が、本当はすごく特別で幸せなんだって事を知ってしまったから。



『こっちこそ聞いてくれてありがとう。まぁアレだよ。会社で会っても無視だけはしないで?』



「はい」



大北さんは明るく笑って電話を切った。



きっと私に気を使ってくれたんだ。



切ない想いが胸に広がったけど、気持ちが揺さぶれられる事はなかった。



たったひとりだけ・・・私が自分の手で守りたいと思う人はたったひとりなんだ。




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