ゴクンと唾を飲み込んで、電話だから見えるはずないのに小さく頷いた。



それが分かったのか、大北さんは話し始めた。



『初めてコナンちゃんに会ったのは、コナンちゃんが入社して1ヶ月位たった頃だった』



アツの手が私の手をぎゅっと握る。



『最初は笑顔の可愛い元気な子だなぁって思ってたんだけど・・・だんだん話してみたくなって』



そんなに前から私の存在を気にしてくれてたの?知らなかった。



『話しかけてみると、やっぱり明るくて反応も素直で、10も年下の子に本気でドキドキしている自分に気付いたんだ』



予想以上に真剣な言葉。私はどんどん大北さんの話に引き込まれて行った。



もちろん一番近くにいるアツを忘れている訳じゃない。



『成沢専務の娘だって知って、簡単に手なんか出しちゃいけないんだろうなぁって思ったら、余計に真剣に考える様になってて・・・。左手の指輪の存在が苦しかった』



大北さんは私より10歳も年上の大人の男の人。自分がそんな人の恋愛対象になるなんて考えていなかった。私みたいな子供を相手にするなんて・・・思ってなかった。



『好きなんだ。もちろん、彼氏との仲を邪魔するつもりはない。振られる事は、最初から覚悟出来てた。・・・ただ、こんな風に自分から誰かを好きになるなんて、本当に久々だったから、伝えて終わりにしたかった』



今まで送られて来たメールを思い返す。



大北さんは気持ちを押し付けたり、ましてや彼氏と別れる事を勧めてきた事も1度もない。



叶わないと分かっていても、私との繋がりを大切にしてくれていた。




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