アツは静かな港で車を止めた。
街頭の灯りが少しだけ辺りを照らしているだけで、本当に誰もいなくて、ふたりっきり。
後部座席に移ると、アツにぴったりくっついて座る。
昼間たくさん汗をかいて、雨にも濡れちゃったから、少し体がベタベタするけど、それでも今はこうしていたい。
「目、痛くないか?」
「うん、ぜ〜んぜん平気!!」
それでもアツがやっぱり申し訳なさそうな目で私を見るから、ムリヤリ唇を奪ってやった。
「元気出して?アツが悪いわけじゃないでしょ?」
優しく微笑んで頭を撫でてくれる。
「お前は優しいな?」
別に優しい訳じゃないよ?
だってほんとの本当に、この怪我はアツのせいじゃないのに、アツだけが責任を感じて自分を責めているなんて嫌なんだもん!!
「今日さ、いろいろあったけど楽しかったよね?」
「うん」
「また行こうね?」
「うん」
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