山の天気は変わりやすいっていうけど、こんなに晴れてるんだから大丈夫だよね?
さっきから遠くの方でゴロゴロと雷が鳴っている。
そろそろ帰ろうと言うアツに、もうちょっとって言った私がアスレチックで遊んで20分。
ポツリと空から落ちる雫に気付いて、急いで荷物をまとめて車に走った。
駐車場に着く前に本格的に降り出した雨。
前を走るアツの背中を追いかける私は、自分の足元なんて全然見えてなくて、
「きゃーっ」
何かに躓いて、そのまま前のめりに勢い良く転んでしまった。
「何やってんだよ!大丈夫か?」
戻って来てくれたアツも、地べたに座り込む私ももうすっかりびしょ濡れ。
やっと車に乗って、タオルで体を拭いた私が、アツに背中を向けてTシャツの袖から腕を抜くと、
「お前、何やってんだよ!!」
濡れた服を着替えようって思っただけなのに、あまりに大きな声で怒鳴られたからビクッとして振り返る。
そこには過去最高レベルにおっかない顔をしたアツがいて・・・
「・・・なんで怒ってんの?」
理由が分からないんじゃ謝れない。だから聞いただけなのに・・・
ゴンッ。
「いたーっ!!」
頭にゲンコツが落とされた。
「お前今着替えようとしただろ?しかも外向いて」
その言葉に頷いて、窓の外に視線を向けて、ようやくアツが怒っている理由を理解した。
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