さすがに食べ過ぎたみたいで、シートに寝転がって、動こうとしないアツ。



後片付けをする私の腰に軽く触れたと思うと、眩しそうに片目を瞑って、



「コナミ、膝枕」



「え?」



聞き返すのも無理ないでしょ?



だって外でアツからこんな風に甘えてくれた事なんて、今まであったっけ?



アツの気持ちが変わらないうちに、私は喜んで膝を差し出す。



私の膝に頭を乗せたアツに、下から見上げられて目が合うと何だか照れくさくて笑っちゃう。



アツの髪に指を通すとふわっとアツの匂いがした。



「お前、鼻毛出てるぞ?」



え?



ええ??



「えーーーっ!?」



ガバッと鼻と口を手で覆って勢いよく立ち上がる。



ゴチン響いた鈍い音と、頭を抱えて痛がるアツを無視して、カバンから取り出した鏡で鼻毛チェック。



ムリムリムリムリ!!



鼻毛見られるとか、絶対あり得ないから!!



いろんな角度で鼻の穴を見てみるけど・・・


そりゃ多少は生えてるよ?



でも指摘される様な生え方はしてないよね??



必死に鼻の下を伸ばして鏡を覗き込む私の肩に置かれたアツの顎。



「嘘だって」



ギロッと睨みつけると、そのまま後ろから抱きしめて、



「鼻毛出てても、冷めたりしねーから安心しろって」



って全然嬉しくないんですけど!!!!



「ねぇアツ本当に見てない?本当に鼻毛出てなかった?」



何でこんなとこまで来て、鼻毛に必死になってんだか・・・



でもこんな私だけどさ、やっぱりアツの前ではずっと女の子でいたいじゃん?



鼻毛とか脇毛とかゲップとかおならとか・・・



アツだからこそ見られたくない部分なんだもん。



私の反応が面白かったのか、実は本当に鼻毛を見ちゃったのか・・・アツはずっと笑ってる。



見てないと言われても、その後もずっと私は鼻を気にしていた。




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