「とてもキレイですよ」
鏡越しに森田さんと目があった。
「ありがとうございます」
なんだか自分じゃないみたい。
真っ白なウェディングドレス。
メイクもヘアもバッチリ花嫁仕様の私は、きっと今までで一番幸せな笑顔。
メイクの間も、この部屋にはたくさんの友達が会いに来てくれた。
みんなが今日の私をキレイだと言ってくれる。
そして、私の新しい始まりを祝福してくれた。
もう胸がいっぱいで、笑っているのに滲み出す涙に、メイクさんがウォータープルーフのマスカラで仕上げてくれた。
ーコンコン
「また誰かいらっしゃいましたね」
森田さんが部屋の扉を開ける。
「あ、終わりましたか?」
少し、緊張気味のアツの声。
「今まで見てきた花嫁さんで、一番おキレイですよ」
期待を持たせるような言葉で、森田さんがアツを部屋に促した。
鏡越しにアツと目が合うと、なんだか緊張しちゃって、とっさに目をそらして下を向いてしまった。
「お時間が来たらまた伺います」
森田さんとメイクさんが部屋を出て、アツと二人きりにしてくれた。
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