お寿司屋さんを出て、またしばらく車を走らせると、どうやらアツの実家らしきマンションの前に到着した。



エレベーターを上がって8階の3号室。



「夫婦ふたり住まいだから狭いけど、ゆっくりしてね」



おばちゃんがドアを開けた瞬間に、ふわっと感じた匂い。



あっ、おんなじだ。



アツが住んでいるわけじゃないのに、アツの部屋と同じ、落ち着く匂いがした。



「おじゃまします」



リビングに通されると、アツは1番大きなソファにどっしり腰を下ろす。



その向かいのひとり掛けソファにおじさん。



「コナミ、おいで」



アツに手招きされて、私は隣にちょこんと座った。



「コナミちゃん篤貴はワガママだろ?ちゃんと優しくしてやってんのか?」



私とアツの顔を交互に見ながらおじさんが聞く。



「はい、ワガママです」


「別に普通だよな?」



同時に出た言葉にお互いがビックリ!!



って私の発言にビックリなんだけど・・・。



アツのお父さんに何を言っちゃってるの!?



「あっ嘘です!とっても優しいです!!・・・えへ」



なんて、慌てて言い直しても・・・。



「もう遅ぇよ」



・・・だよね。




.