改札を出る手前で、すぐに見覚えのある優しい笑顔が目にとまった。
「篤貴!小南ちゃん!!」
「おばちゃん!!」
手を振ってくれるアツのお母さんの隣には、背が高くて想像していた“お父さん”とは違う素敵な男性。
「アツのお父さん?・・・カッコイイ」
歩きながらアツを見上げると、ちょっと緊張した面もち。
「・・・やべ。なんか俺が緊張してきた」
「えっ!?ちょっとアツだけが頼りなんだからね!しっかりしてよ〜」
握った手にぎゅーっと力を込めて手を離すと、私たちは改札を出た。
「篤貴おかえり。小南ちゃんいらっしゃい!!」
「おかえり。彼女は初めましてだね」
アツ・・・お父さん似だったんだぁ。
笑った顔はお母さんに似てるなぁ〜なんて前に思った事があったけど、全体的の顔の造りや雰囲気は間違いなくお父さんに似てる!!
なんだか・・・ちょっとドキドキしちゃうんですけど。
「あっ、おじさん初めまして!!おばちゃんお久しぶりです!!成沢小南です!!」
よしっ言えた!!
心の中で思わずガッツポーズをした私に、アツのお父さんとお母さんは優しく笑ってくれた。
「やっと会えたね。篤貴の一番大切な人に」
おじさんの言葉に感動していると、それを打ち消すアツの言葉。
「どーでもいいけど移動しようぜ」
どうでもいいって・・・。
「そうね、こんなところで立ち話もなんだし。ふたりとも疲れてない?」
「あっ大丈夫です」
近くにとめてあった車の後ろのシートにアツと並んで乗り込んだ。
窓から眺める神戸の街並みは、私たちが住んでいる街とあまり変わらないように見えるけど、なんだかソワソワする。
.


