恋景色 ~真っ赤な嘘と林檎と誕生日~


あたしは真子ちゃんの言うことを疑いながらも、ココロのどこかで“本当に願いが叶ったらいいな…”なんて思いながら不思議なキモチでリンゴを食べた。

「サクッ…」



…と、そのとき「ガチャ」とアパートの玄関の扉が開く音がした。

「ただいまー」



「えっ!」


あたしはキッチンにいて玄関のほうは全然見えないんだけど、でも今、「ただいま」って言ったその声には確かに聞き覚えがある。

聞き違えるはずなんてない。

だって、その声は……。

その声は……。



「おかえりー。お兄ちゃん、今日、帰るの遅くない?」

“お兄ちゃんって…”

「あぁ、今日はサッカーの雑誌の発売日だから、ちょっと本屋に寄り道してきた」