恋景色 ~真っ赤な嘘と林檎と誕生日~



「あいたっ…」



…と、不意に聞こえた女のコの声にあたしは思わず振り向いた。

見ると、あたしと同じ制服を着た女のコが転んでいて、そのまわりにレジ袋から飛び出した真っ赤なリンゴが何個も転がっていた。

同じ制服だから同じ中学のコだってことは分かるんだけど、顔は知らない。ひょっとしたら他の学年のコなのかも。

「大丈夫っ?」

慌てて駆け寄ろうとして、でも立ち止まった。

そして振り向いた。

横断歩道の向こうを歩いて行く七森くんが見える。


「イタタタタ…」

声のほうを向くあたし。

女のコが苦痛の表情で膝をさすっている。よく見ると血が出ている。

“痛そう…”

そう思いながらも、また振り向く。

横断歩道の向こうをどんどん歩いて行く彼の後ろ姿が見える。