恋景色 ~真っ赤な嘘と林檎と誕生日~

でもグラウンドのそばまで行って、そこであたしは立ち止まった。

数名の女子が談笑しているのが見えたからだ。


“あたしがイチバンじゃなかった……”


そして彼女たちの視線の先には、一人黙々とサッカーの朝練をしている元6年2組の委員長――七森将児くんの姿があった。


もともとサッカーがうまいのに、みんなより早く学校にきて一人で練習してるなんて、ホント偉いなって思う。

あたし、サッカーのことは全然分からないけど、でも七森くんがサッカーがうまくて、みんなに“エースストライカー”って呼ばれてることだけは知ってる。

はっきし言ってウチの学校の男子の中でも、そーとー目立ってる存在。

トーゼン、女子にも人気がある。


“どうしよぉ…。せっかく早起きしてきけど、みんなの前じゃ、ヤッパ渡せない……”


「ハァ…」

あたしはため息をついて途方にくれながら、それでも次のチャンス――昼休みを待つしかないってことを覚悟していた。