それからどれくらい経っただろう。


季節はすでに冬になっていた。


クリスマスイブ。


あの幼い告白から丸4年。


私はもう21歳だった。


窓を開けると、白いものがふわふわと舞い降りている。


雪だ。


その優しい空からの使者はゆっくりと、でも確実に街を白一色に染めあげていく。


白いクリスマスイブか…。


こんなに素敵な夜なのだから、どうせなら先生と過ごしたかった。


そう思う。


彼とは夏休みに会ったきりだ。


メールのやりとりは時々したけど。


内容は日常のなんでもないことばかりだったが、それでも私にとっては幸せだった。


ほんの些細なことで、同じ思いや考えを共有出来る。


それが心の支えになっていた。


だけどわかるんだ。


先生はいまだに母を忘れられないってこと。


そして、昨日帰郷した時、母は先生の話ばかりしていた。


「でももう元には戻れない」と言いながら何度も、何度も。


私は耐えられなくなって、話を無理にそらした。


すると母はちょっと悲しげな顔になった。


みんな不器用だな。


母も先生も性格が合わないからと別れたのに、別れた後も想い合っている。


お互いの気持ちを知らずに。


そして私も先生を好きでいながらそんな2人をただ見ている。


何も出来ずに。