「お、お、お邪魔しまぁーす…」


ガチガチになってまともに言えていなかった。


「だからお前のベッドだろうよ」


先生はくすくすと笑う。


「だって…」


言いながらそっと布団に入った。


ただの布団ならいいが、先生と同じ布団だなんて。


なぜ、こんなことになっているかというと、あの後、しばらく論争が続いたが面倒くさくなった私がつい言ってしまったのだ。


「あー、面倒くさい!だったら一緒に寝ちゃいましょうか」


と。


言った後、しまったと思ったが、先生が拒否してくれるだろうと思って何も言わなかった。


すると彼はいつものポーカーフェイスで「そうするか」と言ったのだ。


言い出してしまった手前、「嫌です」とも言えず、今に至る。


「お前、ガチガチになりすぎだよ」


声をあげて先生がまた笑う。


じゃあ、あなたはなぜ他人のベッドでそんなに冷静でいられるんですか!


「だって…」


いくら背中合わせとはいえ、近いよ、近すぎるよー!


ただでさえ暑いのに、体が熱を発して、今が昼間なのではないかと思った。


なんたって昼間は夜より暑いもの。


って、そんなことは今はどうでもいいか。


窓を見上げると、そこには星も月も見えなくて、群青色の世界がただ広がっているだけだった。