「ほう。おふくろの奴、どういう風の吹き回しだ?」


帰宅した先生にいきさつを話して紙袋を渡すと、彼はそう言ってアルバムを取り出した。


1冊目を開くと先生の高校時代だろうか、学ランをきた青年が写っている。


涼やかな目にしっとりした黒髪。


もしこんな同級生がいたら好きになっちゃうかも。


「へええ。先生ったらすでにこの時からカッコ良かったんだ」


「やめてくれよ」


先生は恥ずかしそうにしている。


「もう。罪なボーイなんだから」


「なんだそれ」


早口で言ってさっさとページをめくっていく先生。


すると、5ページくらいで終わってしまった。


後は空白のページが続くばかり。


「少なっ」


思わず素直な感想が口を突いて出る。


「まあ、高校時代だから。文化祭や運動会に親が来るとかないからな」


「あ、そうか。はい。じゃあ、次」


2冊目のアルバムを先生に渡す。


「まだ見るのかよ」


彼は苦笑している。


照れ臭いのかな。


「いいから。はい」


「わかったよ」


苦笑いの表情を崩さずにアルバムを開く先生。


「あらあ」


柄にもない言葉が私から飛び出す。


1ページ目には真新しいランドセルを背負った小さな子供の写真が何枚も貼ってあった。


「先生、かわいい!」


私はテンションが上がったが、先生はかなり恥ずかしそうだ。


彼が急いで次のページを見た瞬間、何かが挟まっていることに気付いた。