夢でいいから~25歳差の物語

メイドさんの目にとまらないよう、ゆっくりと慎重に動く。


そしてドアノブに手をかけたその時だった。


プツン。


カシャン。


「!?」


何かが切れ、そして落ちる音がした。


おそるおそる下を見ると、ネックレスのチェーンが切れてハート型のペンダントトップもろとも落ちていた。


「やだ。まだもらったばかりなのに」


慌ててそれを拾う。


最初は何かに引っかかって切れたのかと思ったが、辺りを見回しても引っかかりそうな物はない。


と、なると…?


頭の中に先生の顔が浮かぶ。


それにだんだんと亀裂が生じ、ついには粉々になって闇に溶けて見えなくなる。


ブルッと身震いした。


この身震いの原因に、もはや寒さなんて少しも含まれていない。


ただ不安と嫌な予感と恐怖だけが真っ黒な霧になって私の心をすっかり包み込んでいた。


そして切れたネックレスを見る。


先生が危険な目に遭っているという誰かからのメッセージではないだろうか、これは。


いやに生ぬるい汗が背中をゆっくりと不気味につたう。


まるで私を焦らせるかのように心臓が鼓動を早める。


先生。


先生。


私は無我夢中でドアを開け、闇と吹雪が待ち受ける暗い極寒の世界へと飛び出した。