夢でいいから~25歳差の物語

「あ、すみません。驚かせてしまって」


メイドさんはぺこぺこと頭を下げる。


「い、いえ」


「あの、こんな寒いところで何をなさっているのかと思いまして」


「うーん」


私は返答に困る。


まさか連れとケンカして、あなたのご主人様と気まずい雰囲気になって部屋を出てきてしまったんです、なんて言えないし。


「ちょっと、考え事です」


「お部屋に戻られなくていいのですか?廊下はかなり冷えますよ」


「いいんです」


私は半ば投げやりになっていた。


「いいんです、私なんか」


また風がビュウと音を立てた。


「それに、戻り方もわかりませんし」


「でしたらご案内致しますよ」


「え、あの」


メイドさんは私の答えも聞かずに歩き出してしまった。


仕方なく私は彼女の後をついていく。


右に1回曲がり、少し歩いて左に2回曲がり、しばらく歩いてさらに左に1回曲がってやっとリビングの入り口が見えた。


私はそっと陰に隠れて中を窺う。


「!」


その光景に私は思わず声をあげそうになった。


「き、清川さん。これはどういう…」


「すみません。青山さん」


友里さんは先生に抱きついていた。


私は味わったことのある失望感に襲われる。


いつのことだっけ?


…あぁ、そっか。


先生が記憶を失っていた頃、母が彼に抱きしめられていた時だ。