夢でいいから~25歳差の物語

「先生のバカ」


寒い廊下で1人呟く。


「お世辞でもお前だけだって言ってよ」


直後、私は前言を撤回した。


本当は本心でお前だけだって言ってほしいに決まっている。


言葉だけの愛なんて、夜に土地勘のない場所で小さな探し物をするみたいにあいまいでむなしいだけ。


「私はこんなに好きなのに」


頭がいいところも、普段は冷静なのにいきなりアツくなるところも、時々見せる優しさとか、笑顔がまぶしいところとか、やたらに照れ屋なところとか。


みんなみんな私が愛している先生-青山皐示の一面。


だけど、さっきの先生は私の好きな先生じゃなかった。


違う女性にどぎまぎする先生はなんだか違う人みたいだった。


こう言うと、ただ単に私の欲求を先生に押し付けているみたいだ。


しかし、妻が夫に愛してほしい、自分だけを見てほしいと思うのはいけないことだろうか。


たぶん、すごく自然なことだと思う。


ただ少し不安になり過ぎる私の独占欲が強いだけで。


「あのう…」


「ひゃあっ」


いきなり話しかけられて私は変な声を出した。


見ると、メイドさんらしき女性が立っている。


ロリ系とでも言うのだろうか、綺麗というよりかわいらしい感じの、目がぱっちりしていて童顔で声もアニメのヒロインみたいな人。


私は己の人生においてなかなかこのようなタイプの女性に会わなかったせいか、どぎまぎしてしまった。