夢でいいから~25歳差の物語

「清川さん」


彼は彼女にいきなり切り出した。


「なんです?青山さん」


「妻は、流星はそちらではどうです?」


「とても真面目で素直でいい子ですよ」


彼女はニコッと笑った。


「良かった」


「あの、青山さん」


「はい?」


「わたしに見覚え、ありませんか?」


彼はしばらく彼女の顔を見ていたが、やがて首を横に振ってこう言った。


「いえ、あなたとはあの日曜日の事件の時が初対面かと」


「そうですか。残念です」


「と、申しますと?」


「これ、わたしが16歳の時の写真なんですが」


彼女は懐から1枚の写真を取り出した。


彼は驚きのあまりに目を見開く。


「こ、これは」


「ええ。わたしの隣に写っている人、あなたはご存知のはずです」


「…あなたはあの人とはこういうご関係だったんですか」


「はい。だからわたしがあなたをお慕いする理由もわかるでしょう」


「慕う?」


彼は驚いて彼女を見る。


彼女はうなずいた。


「先ほども申し上げた通り、流星ちゃんはとてもいい子です。しかし今だけは…」


彼女はガタンと立ち上がり、彼の前に立つ。


「お許し下さい」


彼女は彼の背中にすっと腕を伸ばしていく。


彼は突然のことに化石したように動けなかった。