「運命…」


三七子ちゃんはぽつりと呟いた。


「うん、運命。そう思い込んで1ヶ月、生きてきた」


「そうなんだ…」


ううん、そんな風にも思えない。


みんな強がりなの。


「でも、私はそれでも先生を父親として受け入れられないよ」


これだけは強がりなんかじゃない。


本当のこと。


「好きだから?」


「うん」


「好きな人が義理の父親になってしまうなんて…皮肉だよね」


「うん。本当に」


「でも先生はどう思っていると思う?」


「えっ?」


「実はあたし…」


-回想-


あれは2週間ほど前だったかな。


あたしはひと足遅れて青山先生にノートを提出しに行ったの。


「先生、遅れてすみません」


「あぁ、安井か。ノートね?はい、預かります」


その時、先生の机の上に流星ちゃんの写真があったの。


「先生、これ流星ちゃ…水橋さんの写真ですよね?」


「あ、ああ…」


「あの…水橋さんから聞いたんですけど、先生って水橋さんのお母様と結婚なさったんですよね?」


「ああ。事実婚だがな」


「水橋さん、先生に「父親として見れない」って言ったこと、後悔していましたよ」


「そうか…」


「先生?」


すると先生はこう言ったの。


「いや、あいつには色々と申し訳ない気がするんだ。それに俺はあいつを守れるかどうか。それを考えると夜もなかなか眠れなくて…」