夢でいいから~25歳差の物語

それから源氏はまた学校を休んだ。


もともと体が弱いということもあるだろうが、自責の念に駆られずにはいられない。


俺がショックを与えたせいだ、と。


さすがに倉島もこれには反省したらしく、例の写真を渡してしおらしく謝ってきた。


だが、今さら謝られてももう遅い。


またひとつ、俺は大切なものを失ってしまった。


拙い運命。


青山皐示の人生という名の物語はなんてひどいストーリーだろう。


「先生!」


蘇る。


咲き誇る花のような源氏の笑顔が、繰り返し。


無責任だ。


その花を守れなかったのも苦しめたのも俺自身。


なのに、もう一度咲いてほしいと願ってしまう。


俺はただ彼女に笑っていてほしかった。


源氏の笑顔を見るのが幸せだったから。


だが、次に思い出すのは、別れた後、1度病院に見舞いに行った時に見た彼女の沈んだ顔。


「謝らなくていいですよ。先生は悪くないんですから」


源氏はそう言ったが、強がりなのは肩の震えですぐにわかった。


「それにもともと付き合っちゃいけない関係だったのに、あたしがわがまま言ってしまったでしょう?」


彼女は1人で責任を抱え込もうとしていた。


あんな華奢な、強く強く抱きしめたら淡雪のように消えてしまいそうな体ですべてを。


俺はあいつに何をしてあげられるのだろう。


恋人だったら抱きしめてあげるのだろうか。


じゃあ、恋人じゃなくなった今は…?