外に出ると、闇の中で銀杏が風の鼓動に合わせて不確かなリズムで踊っていた。
風に舞い上がる落ち葉が白衣の裾をつつく。
潰されそうな思いに、俺はたまらずしゃがみ込んだ。
本当は別れたくなんてない。
だが、十数分前に俺は別れを切り出した。
別れなければ倉島は源氏に何をするかわからない。
それが怖かった。
だから源氏が手ひどい仕打ちを受ける前に、いっそ別れてしまおうと思ったんだ。
倉島の狙いは俺達の破局。
別れを告げた今、源氏に被害が及ぶことはないだろう。
…でも、なんで。
守り抜くと誓ったはずなのにどうしてこうなる?
あんなに愛おしいと思ったのに。
記憶が何もかも鮮明に残っているのに。
「源氏、好きになって、こんなことしてごめんな。守れなくて、幸せに出来なくて…」
あの夏の雨の日に漏らした言葉が蘇る。
そう、俺は彼女を守れなかった。
倉島の圧力に屈してしまった。
もっと他の方法を探すべきだったかもしれないのに。
「源氏。俺達、もう生徒と教師に戻らないか?」
本心とは違う、偽りの言葉が頭の中で繰り返される。
「源氏…。すまない…」
彼女に謝るのはこれで何回目だろう。
俺の声は落葉の雨の中に虚しく消えていった。
風に舞い上がる落ち葉が白衣の裾をつつく。
潰されそうな思いに、俺はたまらずしゃがみ込んだ。
本当は別れたくなんてない。
だが、十数分前に俺は別れを切り出した。
別れなければ倉島は源氏に何をするかわからない。
それが怖かった。
だから源氏が手ひどい仕打ちを受ける前に、いっそ別れてしまおうと思ったんだ。
倉島の狙いは俺達の破局。
別れを告げた今、源氏に被害が及ぶことはないだろう。
…でも、なんで。
守り抜くと誓ったはずなのにどうしてこうなる?
あんなに愛おしいと思ったのに。
記憶が何もかも鮮明に残っているのに。
「源氏、好きになって、こんなことしてごめんな。守れなくて、幸せに出来なくて…」
あの夏の雨の日に漏らした言葉が蘇る。
そう、俺は彼女を守れなかった。
倉島の圧力に屈してしまった。
もっと他の方法を探すべきだったかもしれないのに。
「源氏。俺達、もう生徒と教師に戻らないか?」
本心とは違う、偽りの言葉が頭の中で繰り返される。
「源氏…。すまない…」
彼女に謝るのはこれで何回目だろう。
俺の声は落葉の雨の中に虚しく消えていった。



