「源氏のやつ、遅(おせ)ーな」
翌朝、俺は駅前で1人佇んでいた。
俺が今の独り言を呟いた間にも、見知らぬ人々が駅の中に消えたり外に出て散り散りになっていく。
いったいこの駅を利用している人は1日に何人いるのだろうか。
「お待たせしました」
いきなりの声に振り向き、俺はドキッとしてしまった。
目の前にいるのは確かに源氏だ。
しかし、今の彼女はまるでどこかのお嬢様のようで、ひどく大人びて見えた。
頭には今の季節らしくハイビスカスの髪飾り。
白と黒のシックなワンピースの上に丈が少し短いジャケット。
金色の飾りがキラリと光るカバン。
その飾りには某有名ブランドの名前が刻まれて、俺は仰天した。
それからリボンの飾りがついたサンダル。
彼女のまるでワイングラスの支柱のような細くて白い足首には銀色のアンクレットが光っていた。
「見とれてるんですか?」
源氏はからかうような口振りでそんなことを言う。
「あぁ、見とれたさ」
認めたくないが、正直に言った。
「そうですか。見つめすぎて穴を空けたりしないで下さいね」
「おい、お前が素敵なのは認めるがちょっとは謙遜しろ」
自分の美しさを鼻にかけたお前は見たくないんだ…というのが本音だが、これは言わない。
「冗談ですよ。でも良かった。頑張ってオシャレした甲斐がありました」
そう言う笑顔が太陽の光に照らされて、俺はこれから始まるデートに密かに期待を寄せた。
彼女の笑顔は俺達のこれからを象徴しているように思えた。
翌朝、俺は駅前で1人佇んでいた。
俺が今の独り言を呟いた間にも、見知らぬ人々が駅の中に消えたり外に出て散り散りになっていく。
いったいこの駅を利用している人は1日に何人いるのだろうか。
「お待たせしました」
いきなりの声に振り向き、俺はドキッとしてしまった。
目の前にいるのは確かに源氏だ。
しかし、今の彼女はまるでどこかのお嬢様のようで、ひどく大人びて見えた。
頭には今の季節らしくハイビスカスの髪飾り。
白と黒のシックなワンピースの上に丈が少し短いジャケット。
金色の飾りがキラリと光るカバン。
その飾りには某有名ブランドの名前が刻まれて、俺は仰天した。
それからリボンの飾りがついたサンダル。
彼女のまるでワイングラスの支柱のような細くて白い足首には銀色のアンクレットが光っていた。
「見とれてるんですか?」
源氏はからかうような口振りでそんなことを言う。
「あぁ、見とれたさ」
認めたくないが、正直に言った。
「そうですか。見つめすぎて穴を空けたりしないで下さいね」
「おい、お前が素敵なのは認めるがちょっとは謙遜しろ」
自分の美しさを鼻にかけたお前は見たくないんだ…というのが本音だが、これは言わない。
「冗談ですよ。でも良かった。頑張ってオシャレした甲斐がありました」
そう言う笑顔が太陽の光に照らされて、俺はこれから始まるデートに密かに期待を寄せた。
彼女の笑顔は俺達のこれからを象徴しているように思えた。



