夢でいいから~25歳差の物語

「え?」


俺の目が点になる。


そして、まるで熱気のベールをまとったかのように顔が熱を帯びた。


「だから、よろしければデートしてくれませんか?」


源氏の方も同じように顔を赤くして言った。


「いや、あの」


「都合が悪いようでしたら構わないんですが…」


少し寂しそうな表情の源氏。


うう、そんな顔で上目遣いするなんて反則だ。


「わかったよ」


「本当ですか!?」


先ほどまでの表情はどこへやら、ぱっと明るい表情でそう言ってくる。


あの顔は演技だったのか?


「ところでどこへ行きたいんだ?」


「どこでもいいです」


「なんだそりゃ。自分から言い出したんだろ」


「そうですけど、本当にどこだっていいんです。先生と一緒にいられれば」


「…」


そんなセリフ、キザな男が言うものだとバカにしていたが、いざ言われるとかなり照れてしまう。


くっ、せっかく今まで「クールな青山先生」を保ってきたのに台無しだ。


って、何を考えているんだ、自分は。


「よし、わかった。それじゃ、時間は明日の10時ちょうど。場所は駅前で」


「どこへ行くんですか?」


「…未定」


その返答に源氏は「いかにも決まってるような口振りだったのに」と笑っていた。


そんな俺達の様子を、奴はじっと見ていたんだ…。