夢でいいから~25歳差の物語

「じゃあ、今日はここまで。ご苦労さん」


あれから数日後、俺は普通に授業をしていた。


「先生、さいなら」


「おう、さよなら」


「さよなら、先生。早く彼女作って下さいねー」


「お前もな」


そうやってぞろぞろと生徒達が帰っていく。


しかし、源氏だけは動かなかった。


「やっと2人きりになれましたね」


「そうだな」


俺達は補習が終わった後にこうやって2人で話をするのが習慣になっていた。


これは彼女の提案だが、俺もこの秘密の時間を楽しんでいた。


自分だけの宝物を自分にしかわからない場所に隠し、そして時々その宝物をこっそり見て1人で楽しむ、そんな感覚だった。


「ねぇ、先生。週末、暇ですか?」


「野暮な質問だな。教師はなにかと忙しいんだよ。まぁ、今週の日曜日なら空いているが」


俺は何気なく言ったが、それを聞いた源氏が一瞬、ほくそ笑んだように見えた。


「じゃあ先生、今度の日曜日にデートして下さい」