夢でいいから~25歳差の物語

「俺もお前が気になっていたんだ…」


いけないことだとわかっていても、俺の口をついて出たのは心の叫びだった。


一時的な感情に支配された言葉にすべてを任せてしまったら傷つくのは俺じゃない、源氏だ。


しかし、告白されたことで心の奥で封印していた気持ちが解き放たれたような感覚があった。


「先生、好きです。よろしければお付き合いしてくれませんか?」


彼女は改めて言う。


「あぁ。よろしくな」


「ありがとうございます」と嬉しそうに笑う彼女が愛しくて、胸がくすぐったい。


神様。


源氏さん。


まるで春の夢のように儚いこの恋を許して下さい。


熟語でこの気持ちを表せば背徳というものなのかもしれない。


しかし、この久々に胸が躍るような気持ちに嘘はつけなかった。


兄貴が2度目の殺人を犯したと知らせが入った時、あんなにまわりから信頼を失うのが怖かったのに、今は源氏さえいてくれればいいような気がしていた。


そして、この時はこんな時間がずっと続くものだと思っていた。


出会いは別れの始まり。


出会いの数が増えればその分、別れの数だって同じように増える。


そんなことも忘れて恋の美酒に酔いしれ、俺はすっかり浮かれていた。


現実はそんなに甘くないというのに…。