「えー、ここに補習の科目と人数と場所を書いたプリントを貼っておくので、出る人は後で見ておくように」


あたしが補習を申し込んだ翌日(申し込んだ日は〆切日だった)、担任の先生はそう言って黒板の端っこに1枚のプリントを日の丸のような小さい磁石で留めた。


今すぐに見にいってもごった返すので、休み時間になってからそれを見にいく。


場所はどれも会議室で、教科と参加人数は次の通りだった。


国語…66人


数学…58人


英語…75人


社会…54人


理科…70人


「理科、多っ」


この学校はどちらかといえば理系の科目が得意な人が多いから、あたしは文系科目をカバーしようとして文系の方が参加者が多いんじゃないかと予想していた。


だのになんですか、この理科の参加者の人数は。


ははーん、さてはみんな青山先生目当てだな?


わかりやすいなぁ。


なんてニヤニヤしていたら、遥に教科書で叩かれてしまった。


「なーに笑ってんのよ」


「え、別に?」


「怪しいなぁ。その意味ありげな笑み」


「怪しくないし」


青山先生のことを考えると思わず笑みがこぼれてしまう。


今までこんなこと、なかったのに。


やっぱり恋なんだ。


スーパーボールのように弾む気持ちを実感し、あたしは恋の訪れを確信した。


それからあたしの秘密が始まったのだった。