夢でいいから~25歳差の物語

クリスマスイブ。


昼下がり、わたしが夕食の準備を始めていると玄関からドアが開き、そして閉まる音がした。


流星だ。


わたしはパタパタと玄関に行く。


「流星、おかえり」


「…ただいま」


そう言う彼女の様子がどことなくおかしく見えた。


「どうしたの?」


「…なんでもないよ」


「ならいいけど。それより、今日はクリスマスイブでしょ?今年もわたし、腕をふるっちゃうから去年みたいにびっくりしないでよ?」


わざと明るく笑顔で言ってみる。


「うん」


あれ?


いつもだったら喜ぶはずなのに。


ちょっと大人になったのかしら。


そんなとんでもない勘違いをして、わたしは夕食の準備を再開した。


今日の献立はエビピラフ、ローストチキンのオレンジソース添え、ルッコラのイタリアンサラダ、ビーフシチュー、イチゴソースのパンナコッタ、ということにしている。


冷蔵庫に手を伸ばした時、流星がタンタンタンと勢いよく階段を駆け上がる音がした。


あんなに急いで部屋に行って何かあるのかな。


まぁ、下手に干渉するとまたプライバシーの侵害がどうとか言ってくるので気にしないことにした。


そして皐示さんが来たのは、約束の18時を5分ほど過ぎた時だった。