「流星ちゃん。先生はね…」


「いいってば!」


私はむきになって叫ぶが、三七子ちゃんは怯むこともなく続けた。


「先生は流星ちゃんのためにあんな嘘をついたんだよ」


「私のため?」


なぜ私のために?


「先生はこの事件を1人で解決しようとしていたの。流星ちゃんを巻き込みたくなかったから」


「…」


「流星ちゃんに源氏さんが魔王ということを知らせたくなかったんだって。もし知ったらどんなにショックだろうって。また、彼女の魔の手が流星ちゃんに本格的に襲いかかる前に、自分でどうにかしたかったというのもある」


「…」


「そこで先生は彼女が自分に復讐しようとしているのをいいことに、考えたの。源氏さんに自分を殺させて彼女を刑務所行きにしてしまえば、流星ちゃんが狙われることもないと」


「…」


「流星ちゃん?」


三七子ちゃんは怪訝そうに私の顔を覗く。


「なんで」


「?」


「なんで先生はそこまで私のために?自分の命を賭してまでそんなこと」


私、美綺さんと先生が恋愛関係にあったのが衝撃的すぎて、先生がいまだに美綺さんを好きだからあんなことをしたのかと思っていた。


「なんでって、それは自分でもわかっているんじゃない?」


そう言う彼女の目は優しく、しかしすべてを見透かしているようだった。