「な、流星!?」


先生は驚きを隠せない様子だ。


それに構わず、私は銃口を向けている相手をにらみつけて言った。


「どういうことです?…美綺さん」


そう、「では復讐させて頂きましょう。魔王さん」と言っていたのも、先生を撃とうとしていたのも美綺さんだったのだ。


「あたしはこの8年間、16年前の事件の復讐をするために生きてきました」


「16年前の事件?」


「それについては俺が話す」


先生が突然、口をはさんだ。


「今までお前にずっと隠し続けてきた。兄貴のこと」




「学生時代、兄貴のせいで俺の人生は最悪なものとなった。だから勉強しかなくなって、気付いたら教壇に立っていた。だが…」


「やめろ、俺じゃない!悪いのは兄貴だ!」


「思い出したい流星さん達のことは思い出せないのに、相変わらず、兄貴のことという忌まわしい過去は覚えているんです」




今までの先生のセリフが、映画のエンドロールのように流れては消えていく。


「だが今、全部教えてやる。お前と初めて出会うまでの42年間の人生の中で起きたことを」


そう言って先生は語り始めた。


私にずっと隠し通してきた忌まわしい過去。


そして先生のお兄さんの記憶を…。