チュンチュン。


ガササ…。


鳥達のさえずり。


木々がそよ風に吹かれて奏でる音。


それらは自然が生み出す穏やかなBGM。


そして窓から差し込む日光という大自然のライト。


翌日、昼寝から目を覚ました時、私はそんな自然の恵沢をめいっぱい受けていた。


そして大切なはずの人も私のそばにいた。


「先生…」


先生は穏やかな眠りについていた。


入り込んでくる風がベッドに伏せる先生の黒髪をふわりと揺らす。


髪はまるで天使がいたずらしたかのように、ほんの少しだけ乱れた。


時計に目をやるとすでに面会開始時間を2時間も過ぎていた。


「先生」


「う…」


私が肩をぽんぽんと叩くと先生はうっすら目を開けた。


「流星?」


「う、うん」


うわぁ、やっぱり慣れないせいか敬語じゃないのって変かも。


「はは、ちょっと気持ち良くなっちゃってつい寝ちゃった」


「あはは」


「ところでどうしたんだ?」


「え?」


「首」


「!」


鏡を取り出して見てみると、かすかだが首を締められた跡があった。


「どうだ?愛しい男の手によって意識を失っていく気分は」


昨夜の魔王のセリフを思い出す。


私は怪訝そうな先生の顔を見た。


先生(このひと)が魔王なの…?