でも誰が?


魔王?


それとも別の誰か?


突然すぎて頭が働かない。


体が動かない。


声が出ない。


「前からおかしいとは思っていたが…こういうことだったんだな」


「違います、彼は友達で」


「だったらどうしてこんなに頻繁に会っているんだよ」


写真の隅にはどれも日付がプリントされていた。


7月14日、7月19日、7月25日、そして昨日、7月30日。


「お前が浮気する奴だなんて思わなかったよ」


冷たい。


先生の氷柱のような視線が突き刺さる。


「私…」


確かにこんな写真を見せられたら私を疑うのは当たり前だ。


でも何を言っても信じてくれないなんて。


先生にとって私はそんな程度の存在だなんて。


ひどい。


「先生のバカ!」


そう叫んで私は家を飛び出した。


夜の街を走りながら思う。


もっと冷静になって本当のことを伝えれば良かった。


ただ怒っただけでは単なる逆ギレともとられかねない。


でも帰れないよ。


こんなことをしてしまった以上。


それにいつになく激しく怒る先生が怖かった。


なんだか約5年半前のクリスマスイブに戻ってしまった気分。


あの時も今と同じような気持ちだった。


いや、あの時の方がまだ良かったのかもしれない。


だって今の私は、先生を傷つけてしまったから。