その心当たりとはあのオルゴールの件である。


以前から犯人は先生だけを狙ってきた。


しかし、一緒にいる私も標的(ターゲット)にされたのではないか。


「俺に関わるとお前まで巻き込んでしまうかもしれない。今はいいとしても、過去が明らかになった時は…」


「こんな俺でいいのか?嫌な目…いや、危険な目にあうかもしれないんだぞ」


母と先生が離婚したと聞き、学校に駆けつけた時に言われた言葉を思い出す。


私は本当に狙われているのかもしれない。


しかし、そうは思っても不思議と恐怖は大して感じなかった。


「それでもいいです。私は先生が隣にいてくれるなら何もいりませんから」


自分の言葉を思い出す。


きっとそんな気持ちが今も働いているから怖くないのかもしれない。


だが、これからどうしよう。


先生に言おうにもなんだか言いづらい。


それに俺のせいだ、なんて自分を責めてほしくない。


しかし、放っておくのも癪だし何より気がかりだ。


先生の身の安全を考えると、やはり警察に相談すべきだろうか。


うーん、困ったな。


ため息をつきながら手紙に視線を落としたその時。


「どうした?」


振り向くと、家を出ていったはずの先生がそこに立っていた。