白い紙にはやはり、パソコンで打ったような機械的な字が並んでいた。


<血で染めるのは封筒よりも雪、いや、あなたの白衣の方がふさわしいかもしれませんね。赤く染まる白…きっときれいですよ>


「この!」


私はそう叫んで手紙をぐしゃぐしゃに丸め、怒りに任せてゴミ箱に叩きつけるように投げ入れた。


「何がきっときれいですよ、よ!バカじゃないの?」


手紙相手に怒っても意味がないのはわかっているが、怒らずにはいられなかった。


警察に言って犯人を逮捕してもらいたかったが、前回のように先生がきっと良い顔をしないのでどうしようもない。


なぜ先生は警察なんて、という言い方をするのだろう。


ただならぬ事情はあるのだろうが、聞けない。


聞いたら何かを失ってしまうように思われた。


失ってはいけない大切なものを。


もっとも、これはただの私の予感であって、別に根拠はない。


「まぁ、こんなものを気にしていたら仕事が出来ませんから無視したのですが」


先生は私の怒りぶりに驚きながらも、そう言うのだった。


「無視した」というのは彼が強いせいなのか、ただ単に気にしていないのか、はたまた強がりなのか。


私には判断出来なかった。