目が覚めると病院だった。


そうか。


流星さんと記憶を取り戻そうとしていたら、急に頭痛に襲われたんだったな。


「…ごめんなさい、先生」


沈んだ表情で流星さんが謝る。


彼女を安心させるため、俺は微笑して首を横に振った。


しかし、それが逆に彼女を苦しませてしまったらしく、流星さんは言った。


「本当にごめんなさい。私が無理なことをさせたから…」


そんな彼女を愛おしく思ったあまり、俺は思わず流星さんを抱きしめてしまった。


「流星さんは悪くないです」


そう言って彼女の頭を撫でてやる。


しばらくそうしていると、いつのまにか流星さんは俺の腕の中で眠っていた。


「ははは…」


まさかこんなところで寝てしまうとは。


思わず1人で苦笑する。


しばらくどうすればいいか迷っていたが、考えているうちに俺も眠っていた。


面会時間終了ぎりぎりに彼女と俺ははね起き、帰っていった。


そして翌日。


「うう…」


寝すぎて眠い。


「あっ、先生。おはようございます。ってもうお昼過ぎてますが。体は大丈夫ですか?」


いつのまにか来ていた流星さんが話しかけてきた。


それに返事をし、たわいもない話をしていた。


俺が、寝ている流星さんがかわいかった、と言うと顔を真っ赤にしてむせているのがまた愛しい。


ふと、彼女が言った。


「やっぱり先生は母が好きなんですよね」