「すさまじきもの、「あー、そうか」でおふざけを対処する青山先生」


「えっ、俺のことですか?!」


「そうですよ」


「それで以前、「あーそうかって言って下さい」なんて言ったんですね」


「まぁ、そうです」


妙に納得顔の先生に多少、複雑な気持ちで返事をした。


「それより先生、ハイ!チーズ」


「ええっ!?」


カシャッ。


私がケータイで先生を撮ると、彼の驚きに満ちた顔がディスプレイに写っていた。


そんな表情もまた愛しくて、「データフォルダに保存しました」というメッセージをニヤニヤしながら見ていた。


「流星さん」


「はい~?」


カシャッ。


振り向いた瞬間、先生のデジカメがシャッター音を発した。


「撮っちゃいました」


彼のデジカメのディスプレイを横から覗くと、そこにはニヤけた私の顔。


「保存、と」


そう言う先生は半笑い。


「嫌だー、こんなの消して下さいよ」


デジカメを奪おうとしたが、10数センチの背丈の違いのせいでそれは失敗に終わった。


今の私達、まるでバカップルみたい。


そんな考えが頭をよぎると同時に嬉しくなって、私は先生の腕に抱きついてみた。


「先生っ」


こうやって先生に甘えたのは、前回がいつかわからなくなるくらい久しぶりだ。


恥ずかしがるかと思ったが、先生は微笑んでくれたので夕食までそうしていた。


2人きり…。


たとえ先生がまだ母を愛していても、今だけは忘れていたい。