「いーたーいー」


案の定、私はロープウェイを降りて開口一番に言った。


「大丈夫ですか?流星さん」


先生は不安げな顔をしている。


本気で心配してくれるのが嬉しくて、私はこう言った。


「え?先生と一緒なら大丈夫ですよ」


「…」


笑顔で言うと、先生は口元を右手で隠して視線を私から逸らした。


どうやら照れているらしい。


「もう、照れちゃって」


私は笑いながら先生の肩をバシッと叩く。


「照れていませんよ」


そう言う顔はリンゴのように真っ赤だ。


「またまた~」


耳が痛いあまり、テンションがおかしくなった私はまた笑う。


そんな私を見て、先生は苦笑していた。


「ま、まぁまだ夜景が見れるまで時間はありますし、あのお土産屋にでも行きしょう」


先生がガラス張りの建物を指さす。


「はい」


第一、ここで待っていては寒い。


冷たい風がビュービューと盛んに吹いているのだ。


「おー」


「わぁ」


「きゃー」


私はずらりと並ぶ色とりどりのストラップを見て、年甲斐もなく1人ではしゃいでいた。


しかし、先生が苦笑と恥ずかしさが入り混じった顔をしていたので騒ぐのをやめる。


もう23歳だしね。


「あっ」


先生がいきなり言った。


「どうしました?」


「思い出しました、流星さん」


えっ!?