一息ついて私と母は病院内のコンビニに昼食を買いに出かけた。


「えーっと、とりあえず先生はお茶でいいかな?病院の食事があるし」


私はずらりと並ぶペットボトルを目の前に母に言う。


「ええ。わたしはサンドイッチでいいわ。あなたは?」


「うーん。じゃ、おにぎりにしようかな」


「わかったわ。流星、わたしのお財布渡すからこれで払っていいわよ。ちょっと先に行ってるわね」


「はぁい。ありがとう」


母はパタパタとコンビニを出ていった。


私はこれまたずらりと並ぶ色とりどりのお菓子コーナーに目を奪われていた。


「おお、新発売のグレープチョコレートだ。どんな感じなんだろう」


紫色のキラキラしたパッケージを好奇心からカゴに入れる。


これは私が勝手に買った物だから後でお金を渡さなきゃな。


「とりあえず飲み物も買っておこう。母さんはオレンジティーでいいかな。私はカフェオレで」


隣に誰かいるわけでもないのに、ぶつぶつ言いながらオレンジティーとカフェオレをカゴに入れた。


そして会計を済ませて私は病室に戻る。


「母さん。先せ…」


次の瞬間、私はヘビににらまれたカエルのように動けなくなってしまった。


そして急いでその場から逃げた。


だって見てはいけないものを見てしまったから。


嘘だ。


嘘だよ。


母が…先生の腕の中にいたなんて。