…あと5分しかない。


私は心に焼きつけておこうと思って、愛しい人の横顔を見つめた。


絶対に忘れない。この横顔。涼の香り。この距離。風の温かさ。花火までも。

涼と関わったもの全てを私の心の宝物にしよう。

決して色あせることないようにたくさん思い出して…涼への想いを募らせる。


この恋はまだ過去のものにはできない。

先も見えなくて不安ばかりだけど、私の気持ちはずっと変わらないから。

ムリに消さないで抱き続けよう。



…あと3分。

私は立ち上がった。