「みんなにはトイレ行くとか言って抜け出せばいいよ。」


彩花はそう言ってニヤッと笑った。


みんなにトイレ行くね、と言うと笑顔でOKしてくれた。


「よし。茜、走るよ!」

「うん…!!」


花火が始まるまであと3分。私たちがいた場所は裕太と涼がいる場所から1番遠い場所だった。


慣れない下駄で必死に走る。暗くて見えなくてつまずいた時、彩花が私の手を引いてくれた。


『花火の準備をしております。もうしばらくお待ち下さい。』


会場にアナウンスが流れる。人が多くなってきてなかなか進めない。