『.....杏樹は意外と大胆だったんだな』
俺はさっき思った事を言った。
『あら、知らなかったの?でも、さっきのは私のファーストキス。ちゃんと大きくなったら私と結婚してね。ちゃんと責任取ってもらうから』
『責任!?杏樹からしてきただろ!?』
『まぁね。でも、要は私の事嫌い?』
いきなりなんだ?
まぁ、嫌いじゃねぇけど...
『別に嫌いじゃない』
『そ。嫌いじゃないって事は好きなのね。良かったわ』
『いや、好きとは言ってないぞ』
『でも嫌いじゃないって事は好きじゃない。大丈夫。私も貴方の事が好きだから』
『っんな!?』
コイツは隙がない。
『顔真っ赤。私よりも5つも上なのに、年下に弱いのかしら?』
そんな事はない。
それに本当は俺はコイツのことが好きだ。
だって、今まで俺に気がついた事のある人はそう居なかったし。
『って、それよりもキャラ変わって無いか?』
『え?ああ、私は本来こういった性格なのよ。でも、心を開かないとこうは喋らない。貴方は特別よ』
特別...
そうか。
よかった。
『それに、私には貴方みたいに優しい人が必要だったから。ありがとう』
彼女はそういって微笑んだ。
必要...
俺を必要としてくれる人がいるんだ。
知らなかった。
『あ、でも、要。貴方、もう少し表情を豊かにした方がいいわよ。それからもう少し明るくいこう!』
注文の多いやつだ。
でも、コイツでよかった。
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