要side

「俺達全員、家の関係があって、古くから親しいんだよ。月ノ宮家、影ノ宮家、土屋家。それから本当は音雷家と氷河家。で、月ノ宮家が3姉妹、影ノ宮家が双子男子。土屋家が1人っこの男子。残りの2家は超能力を持っていても、あまり、関わらないタイプなんだ。それにこの5家で、昔は大5家って呼ばれていたんだ。それで、俺達は仲がよかったんだ。でも、問題が起きたのは、杏樹がいなくなる少し前。


俺は実は事実上存在していなかった。

親が、双子という事を隠して、兄だけを戸籍に入れたんだ。

だから、俺は兄の影武者。
影武者はただ、兄のふりをするだけ。

俺の人生はそれだけだと思っていた。
でも、兄はこれからの大5家のために、他の子達と仲良くしなくてはならなかった。

ある日、俺は兄の代わりに悟、杏奈、杏と遊ぶ事になっていた。

そして、行くと、そこには黒髪の小さな女の子もいた。

『ねぇねぇ。この子、私の妹なの。杏樹って言うの!3歳なんだけどね』

3人目か。
ちなみにこの人達全員、俺の存在を知らない。
何故、俺が影武者かと言うと、俺の家系は双子が凶とされる家系だから。

『よろしくお願いします』

3歳なのに、もう敬語?
変わった子だな。

俺には関係ないけど。

『ふんっ。杏奈よりも、私のが可愛いのに、杏奈にばっかりくっついて。気に入らないわ』

これは我が侭でうるさい杏だ。

杏は杏奈が気に入らない。

何故かと言うと、きっと嫉妬をしているのだ。
だって、杏奈は綺麗な金髪に緑色の目。

それに比べて杏は茶髪に茶色の瞳。

杏奈は可哀想。

それが俺の考えだった。

しかし、月ノ宮家を継ぐ次代当主は杏だ。
だから、彼女達の親も杏に気を使っている。

代々、月ノ宮家は茶髪に茶色の瞳が当主なのだ。
だから、兄はこの杏って子が好きらしい。

俺は嫌いだが。


『要太君。今日は何をする?』

気持ち悪い。
この杏ってヤツは俺に媚を売ってくる。

でも、しかたなく笑顔を作り、

『何でもいいよ。杏が好きなもので』

と、いつものように言った。