「杏樹、最初は自由時間よね」
「そうですよ。私は食べ物を取りに行ってきます」
「もう。杏樹はいつもあっちに行っちゃうんだから」
杏奈先輩はそう呟いた。
「杏奈先輩、杏樹ちゃんって毎年食べ物取りに行っているんですか?」
「え?ええ。そうよ。あの子毎年食べ物取りに行ってはラストダンスに誘われ、囲まれ大変なのよ。なのに毎回 “お腹空いたから、食べ物取りに行ったまでです” って言って食べ物の所にずっといるのよ。それにラストダンスは踊らないし…困った妹ね」
困ったって言っているけど、表情が嬉しそうだし、楽しそう。
声だって楽しんでいるし。
「でも、秀もラストダンスは毎年踊らなかったわねぇ」
え?
「秀も踊っていなかったんですか?」
「ええ。 “俺は踊る必要は無い。俺はある人を待っている” って言っていたわ。この前誰か分かったんだけどね。たぶん今年は踊ると思うわよ」
「へぇ~。教えてくれてありがとうございました」
秀が誰かを待っている…
待って貰っていた人はラッキーだね。
「ところで結衣ちゃん」
?
「何でしょう?」
「結衣ちゃんってダンス踊れる?」
「え?ダンス?う~ん。お世辞にも上手いとは言われませんが、一応クラシックのなら踊れます。でも、全然上手く無いんですよね。どうしてでしょう。だから、小さい頃、やめてしまいました」
クスリと杏奈先輩は笑って、
「そう。ステップが踏めれば問題は無いわ。あの人はリードが上手いから」
あの人?
「あの人って?」
「ああ、あの人って、今こっちに来てる人。ほら、あの人」
と、杏奈先輩が指差したのは…
「秀の事ですか?」
「ええ。彼はあなたに用があるみたいよ。行ってらっしゃい」
とんっ。
と、杏奈先輩は私の背中を押した。
「そうですよ。私は食べ物を取りに行ってきます」
「もう。杏樹はいつもあっちに行っちゃうんだから」
杏奈先輩はそう呟いた。
「杏奈先輩、杏樹ちゃんって毎年食べ物取りに行っているんですか?」
「え?ええ。そうよ。あの子毎年食べ物取りに行ってはラストダンスに誘われ、囲まれ大変なのよ。なのに毎回 “お腹空いたから、食べ物取りに行ったまでです” って言って食べ物の所にずっといるのよ。それにラストダンスは踊らないし…困った妹ね」
困ったって言っているけど、表情が嬉しそうだし、楽しそう。
声だって楽しんでいるし。
「でも、秀もラストダンスは毎年踊らなかったわねぇ」
え?
「秀も踊っていなかったんですか?」
「ええ。 “俺は踊る必要は無い。俺はある人を待っている” って言っていたわ。この前誰か分かったんだけどね。たぶん今年は踊ると思うわよ」
「へぇ~。教えてくれてありがとうございました」
秀が誰かを待っている…
待って貰っていた人はラッキーだね。
「ところで結衣ちゃん」
?
「何でしょう?」
「結衣ちゃんってダンス踊れる?」
「え?ダンス?う~ん。お世辞にも上手いとは言われませんが、一応クラシックのなら踊れます。でも、全然上手く無いんですよね。どうしてでしょう。だから、小さい頃、やめてしまいました」
クスリと杏奈先輩は笑って、
「そう。ステップが踏めれば問題は無いわ。あの人はリードが上手いから」
あの人?
「あの人って?」
「ああ、あの人って、今こっちに来てる人。ほら、あの人」
と、杏奈先輩が指差したのは…
「秀の事ですか?」
「ええ。彼はあなたに用があるみたいよ。行ってらっしゃい」
とんっ。
と、杏奈先輩は私の背中を押した。

