「ちなみに、今の季節は冬ですから、オリオン座が見えますよ。あ、あっちは冬の大三角形です。あれはふたご座、あっちはこいぬ座です」
杏樹ちゃんは、一つずつ、分かりやすく、
星座を教えてくれた。
「良く知ってるね」
「はい。星は神秘的で好きですから。でも、そろそろ寮に帰りましょうか」
.......
「先輩。寮に帰るのは気まずいからイヤだなんて、子供っぽい事言いませんよね?」
「てへっ☆」
やっぱり、バレちゃったか。
でも、何で分かったんだろうか。
要先輩じゃ、あるまいし。
「....とても、言い難いのですが、先輩、心の声が常にだだもれしてますよ」
「ええ!?そレ、超ショウゲキ的ネ!」
「先輩。キャラ変わっちゃってます」
はっ!
あまりにもビックリして、
キャラ変わっちゃったよ。
これじゃあ、
エセ関西弁ならぬ、
エセ日本人チックなエセ中国人になっちゃうよ。
「略称、エセ日中人」
「いやいや、先輩。一体何言ってるんですか。
って、そうじゃないです。
帰りますよ。
まだ、一応冬ですから。
あんまり遅くまで外にいると、
冷え込んで、
風邪引いちゃいますって」
そうだね。
「杏樹ちゃん、身体弱いしね」
「いや、弱くはないです」
「またまた~」
「そんな、肯定しないでくださいよ。そんな儚げキャラにさせる気ですか!?そんなの、耐ええられませんから」
あらまぁ。
また、無表情になっちゃったよ。
と、言いましても、
ついさっき、
微笑んだだけで、
年相応の笑顔だっただけで、
その後、ずっと無表情だった杏樹ちゃんだけどね。
ツッコミも無表情。
「じゃあ、かえりますよ。きっと、皆心配してますよ。主に結衣先輩を」
...ん?
今、凄い発言をしなかったか?
『主に結衣先輩』
って事は杏樹ちゃんは心配されていないってこと?
いやいやいや。
要先輩と杏奈先輩がありえないほど心配してるでしょ。
「ちなみに、私はよく寮出したり、夜、散歩に行ったりしますから、特に心配はされていないと思います」
なんだそれは。

