「寒く無いですか?大丈夫ですか?」
意外と気配りが出来る杏樹ちゃん。
「大丈夫。でも、暗くなってきたね。あと、少しで真っ暗」
「そうですね。しかし、暗くならないとダメですから」
ふーん。
「で、何処に行くの?」
「内緒です」
何回聞いても教えてくれない。
「あ、そういえば、学校どうでしたか?」
学校?
う~ん...
「特に変わった事は無かったかなぁ」
「.....そうですか。あ、あの転校生の方はどうでしたか?」
あの転校生って、星美さんの事だよね。
「う、うん。まぁ、ノーコメントって事で」
「ノーコメントですか...」
杏樹ちゃんは苦笑をしながらそう言った。
何か最近、表情豊かになって、
普通の人になってきたよね。
でも、前よりはツンケンしてなくて、
親しみやすくなった感じで、
今のがいいかな。
「でも、先輩。私は今、Sクラスにはいませんから、どんな事でも、言ってください。相談に乗りますから」
なんと!
昔の杏樹ちゃんからは絶対に出てこなさそうな台詞が杏樹ちゃんの口から発せられた!
しかも、なんと優しいお言葉!
「ありがと。杏樹ちゃん」
「いえいえ。お礼を言われるほどの事ではありません。あ、着きましたよ」
着いたの!?
って、凄っ!

